Vision

(株)RAINBOWは、北海道大学脳神経外科発のバイオベンチャーです。独自技術のHUNS001は、脳梗塞周辺部に直接投与する自家骨髄間葉系幹細胞(MSC)製品であり、高い品質、有効性、安全性、経済性を目標に開発されました。当社はこの技術が社会実装されることを目的に設立され、関連するすべての知財を北海道大学(以下、北大)からライセンスアウトされる予定です。北大病院にて、脳梗塞患者を対象にHUNS001の脳内移植治療に関する医師主導治験(第1相)を実施し、2021年春に終了しています。

1

  • 北大病院にて細胞培養、製品(HUNS001)投与
  • 医師主導治験:非盲検非対照用量反応試験(低用量: 2×107個、高用量: 5×107個)
  • 脳梗塞亜急性期(発症約2ヶ月後に投与)
  • 予定された全ての症例で製品投与が終了(低用量: 4例、高用量: 3例)

2020

2

  • セントラルCPCにて細胞培養、多施設での製品投与
  • 企業治験:ランダム化比較試験
  • 脳梗塞慢性期投与(placebo群の患者には観察期間終了後に製品投与が可能)
  • 目標症例数 40例(HUNS001:placebo = 1:1)

2025

条件・期限付き承認

脳梗塞に対して、種々の細胞を利用した再生医療が期待されています。しかし、パーキンソン病などとは異なり、脳梗塞は神経疾患であると同時に血管疾患、炎症性疾患でもあるため、神経幹細胞、ES細胞、iPS細胞などを用いる治療戦略は病態的に不向きであり、迅速な再生医療の普及を目指すには、現時点では骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いることが現実的です。

実際に国内では、すでに複数のMSC関連製品による脳梗塞などの中枢神経疾患を対象とした治験(STR01 (=ステミラック), SB623, MultiStem, CL2020, JTR-161)が行われていますが、その中でも北大脳神経外科が開発したHUNS001は、自家幹細胞製品を亜急性〜慢性期に脳内へ直接投与する唯一の製品です。当社では、HUNS001が作用機序の観点から優れた有効性を期待でき、安全性や医療経済学的にも十分に吟味されていると自負しています。自家MSCを用いた脳梗塞治療は、有効性の観点では他家MSC以上と考えており、安全性についても、脳内へ細胞を直接投与する場合はリスクが高いと見なされますが、第1相により安全性に問題がないことを示しています。また、自家幹細胞製品は産業化が難しいと言及されますが、HUNS001をパーソナライズされた自動培養装置を用いて製造することで、低コスト化を目指しています。

北大脳神経外科では、脳梗塞患者に対するHUNS001の脳内移植治療に関する医師主導治験(第1相、非盲検非対照用量反応試験)を、2017年2月から北大病院で実施中です。重症度が高い急性期脳梗塞患者を対象に、患者から骨髄細胞を採取して院内の細胞培養施設(CPC)において3-4週間かけ治験製品に加工しています。製品出荷後すぐに定位的手術を行い、患者脳内に直接投与しています。実施された6例では安全性が確認されており、有効性も十分期待できる結果がでています。最終症例(7例目)が2019年8月に実施され、2020年秋に全症例の観察期間が終了し、2021年春に研究が終了しました。

今後は、2022年度中の第2相治験の開始を目標に準備を進めます。第1相はアカデミアの研究として、資金面はAMEDのサポートを得て実施されていましたが、第2相は当社を中心に、ベンチャーキャピタルなどから資金を調達するか、製薬・医療機器等の企業と業務提携することにより進めていくことを想定しています。まず、第2相の開始前に現在開発中の新規細胞培養法、細胞の輸送法、脳内移植部位の最適化ソフトウェアの特許出願(日本国内、国外)や、非臨床試験の追加実施、プロトコール等に関するPMDAとのRS戦略相談を行う必要があります。第2相では対象を慢性期脳梗塞患者に変更し、院外のCPCに細胞培養を委託して、目標症例数 40例 (HUNS001:placebo = 1:1)で、多施設共同のランダム化比較試験を実施する予定(2022年-2025年)です。第2相治験の結果でHUNS001の有効性が推定できる結果が得られた場合は、2026年度の条件・期限付き承認を目指します。

実際に現在進行中の第1相治験では、脳梗塞症状により歩行できなかった患者さんでHUNS001の投与後に歩けるまで回復した方がいます。この研究がテレビや新聞で取り上げられてからは、多くの患者さんから問い合わせが北大脳神経外科へ殺到しており、研究への期待の高さをひしひしと感じます。そして、この治療法を世界に普及させることが、当社の究極の願いです。

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